※この講座は高校時代、軽音楽部のバンドで作詞作曲をしていたサイトウ(@S41T0H)が、「これから軽音楽部でオリジナル曲を作る高校生にむけて伝えたいこと」を闇雲に書いたものです。

こんどの部内発表会で早速僕らのオリジナル曲を発表することになった!
今 こ そ 真 価 が 問 わ れ る 時 … … !

ど、どうしようニャンちゃん……。曲作りなんてできないよ~~!

大丈夫!
前回作ったマインドマップを改めて見てみよう!

そうそう。「春、あたらしい学校で女子高生が新生活が楽しみで歌った曲」というテーマの曲を作りたいって話だったよね!
サビからメロディをつくろう

ここまでイメージが固まっていたらあとは曲に落とし込めるだけ。
よし! じゃあこの曲をサビから作ってみよう!

ええっ!? サビから曲を作るの!? アタマから作らなくていいの?

サビは曲の要となるダイジなダイジな部分だからね。
サビを制す者は音楽を制す。サビが出来ればそれ以外の部分もスルスルと作れるのだよ。それが、逆だとなかなか難しい。

実は私、サビの歌詞を書いてきたんだ! 少し恥ずかしいけれど……、ぜひ見てみて欲しいな。

話が早い。
『桜』
作詞:サスミ
♪桜の花 ふわりふわり舞って
わたしの心も舞い踊った
あたらしい生活が始まる
期待と不安のなかで
♪桜の花 ふわりふわり舞って
桃色の気持ちに寄り添った
あたたかい明日が待ってる
ふわふわと ふわふわと Ah

……。

……。

……。

(こういうのって、ただ見せられても反応に困るんだよなぁ……。他人のポエムを覗き見たような気恥ずかしさがあるし……。そもそもちゃんと評価できないし。)

そうニャね! ちゃんと「春、あたらしい学校で女子高生が新生活が楽しみで歌った曲」というテーマも、「桜」というキーアイテムも活かせているニャン!
具体的な状況説明はAメロやBメロでしていけばいいし、サビとしてはこれくらいの抽象度がちょうどいいニャン。

よかった! ただ、メロディは全然考えずに書いたからきっと直す必要があると思う。

そうニャね。このように、先に歌詞を考えてそこに曲を付けるという作曲方法を「詞先(しせん・しさき)」というニャン。
逆に後からメロディに合わせた歌詞を考えるのは「曲先(きょくせん・きょくさき)」というニャン。
今回は、先に歌詞をざっくり考えてしまって、そこにメロディを付けながら適宜直していくハイブリッドなやり方を吾輩はオススメするニャ。

は~い!

でも、このサスミちゃんが書いた歌詞、きちんと字数が揃っていたり、きりのいい小節数になっていたりしていて歌も付けやすそうな気がするよ。
さっそく僕のES-335でデモ音源を作ってくるよ! まだEm11コードしか弾けないけれど……。
参考:Em11

今回は吾輩が簡単な伴奏を作ってきたニャン。
ではさっそく、この伴奏にあわせてこの歌詞を曲にしてみるニャン!

……。
(音源を聴く)

フンフンフン~♪ なんとなくいい感じにできた気がする!
耳に残るサビメロを作ろう

サビは曲が一番盛り上がる一番聴かせたい部分。ここで曲の中での最高音が登場するのがいいニャンね。
あとは、同じメロディを繰り返すとよく耳に残るニャン。

同じメロディを繰り返す? どういうこと?

たとえば、フレデリックの「オドループ」なんて分かりやすく繰り返しているニャンね。

あとはKANA-BOONの「ないものねだり」とか……。とにかくシンプルなメロディを繰り返すことが重要ニャン。


たしかにこれは耳に残るね。

なつかしい! いい曲だよね。

ただ、安易に繰り返せばいいというものじゃないニャン。繰り返すのは3回くらいまでにしとくと良いニャン。
また、似たようなメロディでも少し変化をつけていくとしつこさは軽減されるニャン。

なんとなくわかってきたよ!
ハナウタでのメロディ作りが苦手な人へ

でもそもそも音感がないからこのメロディがちゃんと伴奏のコードに合っているのかわからないよ……。

たしかに、メロディをコードの構成音に乗るように作るのは大事ニャンね。
でも、実際ちゃんとその曲のスケール(ドレミファソラシド)の上に乗っていれば大抵なんとかなるものニャン。
音感がないことをいいわけに作曲を躊躇するくらいならとにかくギターを鳴らすニャン。

スケール……? やっぱり音楽理論がわからないと作曲はできないのかしら?

もちろん、理論を勉強することは大切ニャン。でも、はじめのうちは簡単なコード進行に感覚でメロディを付けてみるほうがいいニャン。
実際によく使われるコード進行なんて、実は数パターンしかないニャン。
はじめは↓のパターンを参考にピアノの白鍵を叩くのが吉ニャンな。
- 王道進行(F→G→Em→Am)
…J-POP定番の進行。ポップスに向いている。明るい曲も暗い曲もイケる。 - 小室進行(Am→F→G→C)
…90年代J-POPの神、小室哲哉が多用した進行。暗い曲に合う。 - カノン進行(C→G→Am→Em→F→C→F→G)
…クラシックの作曲家パッヘルベルの「カノン」で使われた進行。明るい曲に合う。

コードネームがわからなければググるニャン。
なれてきたら「代理コード」に置き換えてみたり、コードを切り替えるタイミングを工夫してみたりするといいニャン。
ダイアトニックコードのなかで、構成音が似ているためトニック、サブドミナント、ドミナントの代わりに使えるコード。よくわからなければとりあえず下を参考に上のコード進行パターンの一部を置き換えて弾いてみよう。
- 代理トニック:C→Am、Em
- 代理サブドミナント:F→Dm
- 代理ドミナント:G→Em、Bm7-5

また、音感を鍛えるには「アドリブカラオケ」を推奨しているニャン。ぜひやってみるニャン。

- 曲を作る時は、曲の中でももっとも大切なサビの歌詞・メロディから作ってみるといい。
- メロディ作りはハナウタで。
- 盛り上がり、耳に残るサビを作るには①最高音を使い、②メロディを繰り返す。
軽音楽部員のための作曲講座<基礎編>その4「あたまタイトル、お尻パンチ。」お楽しみに!
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