歌舞伎町の女王、椎名林檎のデビュー20周年記念作品第1弾として椎名林檎トリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』がリリースされましたね。
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これが、ありえん豪華メンツ。最高です。
さすが椎名林檎、といったところでしょうか(個人的には向井にも参加して欲しかった感はありますが)。
ここ数日間Apple Musicでこれしか聴いてません。
というわけで今回は全曲レヴューと洒落込もうと思います。
椎名林檎『アダムとイヴの林檎』全曲レヴュー
正しい街 – theウラシマ’S
アルバムの1曲目に来るのはtheウラシマ’S。
早速誰かと思いきや、参加メンバーが豪華な特別バンド。
ヴォーカル:草野マサムネ (スピッツ)
ドラムス:鈴木英哉 (Mr.Children)
ギター:喜多建介 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)
ベース:是永亮祐 (雨のパレード)
プロデュース:亀田誠治 (東京事変)
スピッツ、ミスチル、アジカンはそれぞれ対バンなどで交流があったそうで、そこに亀田誠治(東京事変のベーシスト)が若手枠?として雨のパレードを連れてきたのでしょう。
是永亮祐は椎名林檎・東京事変の大ファンだったようで、亀田誠治から多大な影響を受けた模様。
言われてみれば、そんな感じもするような。
亀田さんはね、足を揃えてベースを弾くのが可愛いんですよね。チョコンとエフェクターを踏むのが可愛い。わかります。
……亀田の亀でウラシマズなんでしょうね(そりゃそうじゃ)。
肝心の「正しい街」はというと、たしかにスピッツ+アジカン+ミスチルとなっていて、それで不思議と整合性が取れているんですよね。
マサムネ君のボーカルから入るイントロは「スピッツか!?」となるのですが、オクターブ奏法のリードギターが入ってくると「アジカンだー!」ってなって、イギリスっぽい音の粒が細かくてわずかに後ノリなドラムは完全にミスチルじゃん!ってなる。

スライド奏法やペンタトニックスケールを駆使したメロディアスでメロウなベースラインも良いですね。
個人的には、草野マサムネの一人称が「あたし」なのが、イイ。
あ、あとCメロのアレンジがえらく良いので全員聴いてください。
丸の内サディスティック – 宇多田ヒカル&小袋成彬
キター!!!!
2018年を代表する名タッグ、宇多田ヒカルと小袋成彬(おぶくろなりあき)による丸の内サディスティック。
こんなの、良くないはずがない。真っ先に聴きました、これ。
この2人の共演は「ともだち (宇多田ヒカル with 小袋成彬) 」「Lonely One feat. 宇多田ヒカル」につづいて3曲目でしょうか。
抜群の親和感ですよね。
宇多田ヒカルの歌声が良すぎて、おそらく小袋成彬でないと太刀打ちできない(やや負けている感もありますが……)。いや、小袋さんのファルセット(高音の裏声)、美しいです。
にしても宇多田ヒカルが絶対に書かなそうな歌詞を歌っているのが新鮮でいいですね。
小袋は……書きかねない。
サウンド面では、恐るべき音数の少なさとリハーモナイズで、原曲クラッシャー。
ほとんどがドラムとピアノとベースで成り立っています。ドラムのパターンもかなり特殊で。
まるで洋楽のような様相を呈しているわけです。
幸福論 – レキシ
やったー! レキシだ、レキシのおじちゃん(池ちゃん)だ!
冒頭と終わりの「幸福論。」というタイトルコールは年貢 for you(CD音源)を思い出しますね。
ご存知の通り、レキシは「きらきら武士 feat Deyonna」で以前椎名林檎とコラボレーションしています。
椎名林檎のレキシネームである「Deyonna」は「マドンナ」と「ビヨンセ」と「入り鉄砲に出女」をかけているのでしょうか。知りません。
レキシといえばもう解散してしまったファンクバンドSUPER BUTTER DOGの元キーボーディストの池田貴史(池ちゃん)のソロプロジェクトです(ちなみにSUPER BUTTER DOGのボーカルはハナレグミの永積タカシですよね)。
それゆえ、この「幸福論」もかなりファンキーというかダンサブルなアレンジとなっている。EW&Fかよ。
ちなみにこのファンキーなカッティングギターを弾いているのは、レキシネーム「健介さん格さん」こと、ノーナ・リーヴスの奥田健介、ドラムの玉田豊夢とベースの山口寛雄は池ちゃんとともに中村一義のバックバンド100s(ひゃくしき)として活動していた。
名実ともに、原曲とは全く違う「幸福論」となってしまっているのがおもしろいですね。
シドと白昼夢 – MIKA
イギリスはレバノン出身の男性ミュージシャン「MIKA」がフランス語で歌うシドと白昼夢。
大胆にサティのジムノペディを採り入れて、なおかつボサノヴァ調になっていておもしろいですね。
おしゃれです。
茜さす帰路照らされど・・ – 藤原さくら
ポール・マッカトニーを尊敬するシンガーソングライター藤原さくら。
ヤセイコレクティブの別所和洋さんにピアノを教わっているらしい。うらやましい。
このビートルズ感。具体的には、ⅠからⅦ♭にいくのがビートルズっぽいですね。
この「茜さす帰路照らされど・・」はドラムマシンのような緻密なリズムパターンにシンセサイザーのベース、ストリングスとエレピとかなり攻めたアレンジになっていて、このアルバムの中でもとりわけ異色な存在感を醸し出している。
ちなみにアレンジは冨田ラボでお馴染みの冨田恵一氏。
都合のいい身体 – 田島貴男 (ORIGINAL LOVE)
実はコレが一番好きです。
田島貴男、最高ですね。
接吻を聴いたことがない人はいないでしょう。
渋谷系の一時代を築いたバンド。田島貴男はピチカート・ファイヴの2代目ボーカルでもあります(野宮真貴の前任)。
さすが、田島貴男のムーディーな歌唱がジャジーなアレンジにマッチしています。
しかしただジャジーでオシャレというわけでもなく、曲が進むに連れどんどん激しく複雑に、プログレッシヴに展開していきます。スゴい。
これは抜群です。
ここでキスして。 – 木村カエラ
歌詞と歌声がマッチしていないコンテスト優勝です。
バタフライのイメージが強い声で椎名林檎を歌われると脳が混乱しますね。。
木村カエラにゲシュタルト崩壊を起こす、かなり危険なトラックです。
すべりだい – 三浦大知
ツイッターでの評判もひとしおの、三浦大知によるすべりだい。
三浦大知も良いんですが、このバチバチにクールなトラックを作っているのはUTAという人物。
TinyVoiceというプロダクションに所属する音楽プロデューサーで、AI、ATSUSHI(EXILE)、久保田利伸、JUJUといったミュージシャンに楽曲提供をしているとか。存じ上げませんでした……。
冒頭一音目からグルーヴを感じさせるリズムトラックに、ブーンという低音のシンセサイザーも絶妙なリズム感で、気づいたら身体が揺れている。
間奏のゲートの掛かったシンセもカッコイイですね。
本能 – RHYMESTER
原曲をサンプリングして、その上でラップしています。カッコいい……。
RHYMESTER、カッコいいですね、やっぱり。
リリックは椎名林檎に対する男性の心境となっていて、楽曲の上にまた新たなストーリーを作り出しています。
ラスサビ前の、宇多丸とMummy-Dの掛け合いと椎名林檎のブレスが入る部分は鳥肌モノ。
罪と罰 – AI
これも普段のイメージとの違いを楽しめるカヴァーですね。
AIは絶対朝の山手通りに煙草の空き箱を捨てない。ちゃんと家に持って帰る。
おそらくAIは、この歌を歌うにあたって「セヴンスター」の意味を調べた。
……AIの歌声って、なんというか「かあちゃん」って感じ、しません?
カーネーション – 井上陽水
井上陽水ですね。
もうこの領域に来るとカヴァーなのかどうかもわからなくなってきました。
こっちがオリジナルだと言われても僕には判別がつきません。
それくらい、陽水。
自由へ道連れ – 私立恵比寿中学
この曲の公開とともにサブスク解禁された私立恵比寿中学(エビ中)。
ヒャダインがプロデュースしている(た?)ことでもお馴染みですね。
原曲の雰囲気そのままにドタバタ感がさらに増したという感じですかね。
いい感じ!
NIPPON – LiSA
この頃は東京事変解散後の楽曲なので東京事変色が強くなっている印象ですね。
アニソン歌手としておなじみ、LiSA。やっぱり彼女が歌うとアニソンっぽくなって面白いですね~!
もう一つ注目すべきは、ベースがオカモトズのベーシスト、ハマ・オカモトであるということ。
ハマ・オカモトといえば亀田誠治との交友も深いイカしたベーシストです。
ダウンタウン浜ちゃんの(ryベースラインはさすが、カッコいいですね。
ありきたりな女 – 松たか子
ありきたりな女を歌う、レリゴーの女。
ストリングスのアレンジが優美です。
アレンジはクラシックミュージシャンの塩谷哲。
映画の主題歌の様な荘厳さがありますね。
いかがだっただろうか
すごいボリューム感のある『アダムとイヴの林檎』。
十人十色のアレンジが楽しめる、素晴らしいアルバムでした。

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