世界にはいろいろな音楽がある。それらを区分する方法はいろいろあるが、もっとも単純明快なのは地域性による区分であろう。
ロックというジャンルを語るときにしばしばこれはアメリカっぽい、これはイギリスっぽい、これはアメリカだけどイギリスっぽい、などと音楽評論家ぶった顔つきで嘯く連中がいるが、それは私である。
ロックというジャンルは黒人音楽と白人音楽の融合により興ったと言われ、今ではエレキギターあるところにロックは生まれ続けているが、やはりロックの源流といえば英国と米国なのである。
なぜロックがこの2つの国で発展したかは諸説あるがやはり60s〜80sにかけてのロック黄金期において世界でも屈指の経済大国であったことが所以であろう。
具体的には、ビートルズをはじめローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、オアシス、ブラー、クリーム、セックス・ピストルズ、レディオヘッドなどが「UKロック」。対して、チャック・ベリーやビーチ・ボーイズ、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックス、ニルヴァーナ、グリーン・デイ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどが「USロック」と呼ばれるのである。
今回はそんなUKロックとUSロックのサウンドの違いを説明したい。
この記事を読めば君も音楽通ぶってドヤれるぞ。
ギターの音で聴き分ける
アメリカとイギリスのロック、それぞれ最大の特徴はやはり「ギターのサウンド」であろう。
使用されるアンプはもちろん、そのセッティングや弾き方がやはり異なる。
アンプの違い
イギリスのロック(ブリティッシュ・ロック)で使われるギターアンプはVOXやMarshallが特徴的だ。
そのサウンドはどこか籠もっているというか、真空管特有の温かみのあるサウンドである。

対して、アメリカのフェンダーアンプ(ツインリバーブというやつだ)はチャキチャキとしたクランチサウンドが特徴的だ。

アメリカのロックもそれに即してか、高音(トレブルやプレゼンス)にエッジのある、トゲトゲとした歪みを特徴としている。
弾き方・フレーズの違い
UKロックはビートルズが下敷きとしてあるからか、クリーンなアルペジオにコーラスがかかるような、サイケデリックで浮遊感のあるギターサウンドがよく登場する。

対してUSロックでは、歪んだリフ主体の、衝動的なギターフレーズが登場する。コード感が少ない(≒パワーコード主体の)ロックが多いことも特徴だ。

ドラムの音で聞き分ける
ドラムの音にもUSロックとUKロックでは差異がある。
イギリスのロックドラムは、端正というか丁寧で粒の揃ったドラムで、フレーズも緻密で精巧な傾向がある。

対して、アメリカのロックドラムは感情的で、軽く歪んだような音量でオラついている感がある。(もちろん例外も多くあるが。)

ベースの音で聞き分ける
ベースにはぶっちゃけそこまで差はないだろう。
ただ、ビートルズにリスペクトがあるUKロックでは、比較的ソリッドなサウンドでポール・マッカトニーのようなメロディアスなベースラインであることが多く、

USロックではバンド全体のサウンドを後押しするような低音重視なサウンドでフレーズも比較的単純だ。
英語の発音で聞き分ける
これはサウンドというよりアメリカ英語とイギリス英語の違いだ。
イギリスでは品の良い、丁寧な発音をする。却って、アメリカは少し濁ったような、フランクな発音をするのだ。
例えば「And」という単語をとっても、イギリスでは「アン(ド)」と発音するが、アメリカでは「エン(ド)」に近い音で発音する(正式なのかは知らないが、あくまでも筆者の感覚の問題だ)。

天候で聞き分ける
西岸海洋性気候の影響で一年を通して雨の多い、湿気の多いイギリス。
そのような風土も影響してか、ブリティッシュ・ロックには陰鬱さがあるような気がする。

暗い曲やしっとりした曲はもちろん、明るい曲にもメロディや歌詞にどこか哲学的な翳りが見えることに気づくこともあるだろう。
他の例だと、例えば南米やアフリカ、中東、ラテン系の国の音楽は明るく、ときに暑苦しい。そして、北欧やロシア・ドイツなどの音楽は冷たいサウンドであることが多い。

まとめ
いかがだっただろうか。
もちろん、Weezerなど、アメリカのバンドだがイギリスっぽいサウンドのバンドもあるので一概には言えないが、それぞれの国の音楽的ルーツによって、同じ英語圏であるイギリスとアメリカでもここまで違いがあるのである。
これから音楽を聴くときにも、国ごとの特徴に着目してみるといいのではないだろうか。
では。
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