※この講座は高校時代、軽音楽部のバンドで作詞作曲をしていたサイトウ(@S41T0H)が、「これから軽音楽部でオリジナル曲を作る高校生にむけて伝えたいこと」を闇雲に書いたものです。

ニャンニャン大明神に言われたとおりバンドのコンセプトも固まったし、いよいよ曲づくりだ!

どんな曲がつくってみたいんだい?

うーん、僕はマイヘアみたいな曲が作ってみたいかなあ。

ほう。ちなみに恋愛経験は?

あるわけないだろ。

(厳しいっしょ)
恋愛ソングを書くには恋愛経験が必要。妄想だけで書くと無理してる感が、出るぞ。
片想いでいいので、しっかり恋をしよう。

なんにせよ、曲を作るとき忘れてはいけないのははじめに「曲のテーマ・キーワード」を決めることニャン。これがあれば掴みどころのない曲になることを避けられるニャンよ。

テーマ? テーマって言われてもなあ……。よくわからないよ。

いい曲はひとことでどんな曲だか言い表せるものニャン。
「この曲はこんな曲です」と言えるようなテーマを決めるニャン。
そのためには、「キーワード」となるアイテムがあるとなお良いニャン。

ニャ~るほど! ニャっとく(納得)だニャン!(笑)

テーマを決めることも、キーアイテムを見つけることも、楽曲全体の色を付けるために大切なんだニャン♪

ねえねえ、ニャンニャン大明神! 具体例を教えてほしいな。

(サスミちゃん!? い、いつのまに?)

じゃあ、コヤオくんが例に出していた「真赤」の歌詞の「テーマ」およびキーアイテムを解析してみようニャン。椎木さんの頭のなかが少しわかるかもだニャンな~。
「真赤」の歌詞は各自ここで読んでほしいニャン。

「ブラジャーのホックを外す時、だけ~♪」マイヘアの代表曲だね! ……ところでこの「ブラジャー」って、何?

さて、この曲の「テーマ」はなんだろう? テーマというのは日本語に直すと「主題」。楽曲を通じた主たる主張や考えが何かを考えてみよう。

冒頭のAメロの「翌朝君は先に出ていった 僕にと、鍵、残して」の部分から主人公は恋愛をしている男性だということがわかるわね。それもだらしない恋愛。この哀愁、私にはビートルズの「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)(邦題:ノルウェイの森)」を思い出させたわ。
続きのAメロの部分の「下北は地下のライブハウス」から主人公はきっと売れないバンドをやっているんだろうな。シェルターかロフトかしら。

サスミちゃん、鋭いね。
そう、この曲のテーマは「売れないバンドマンのだらしない恋愛」。
クリープハイプやback numberもそうだけど、最近はこういう「女々しい(?)男性目線の恋愛の歌」が流行っているように思えるニャン。草食系男子が増えているというのもそうかもしれないけれど、やはり「女性も聴きやすい楽曲」というのは大事だニャンね。

わかる~~!!! マイヘアの曲って男特有の傲慢さがないドライな恋愛観で描かれていてステキなのよね。コヤオくんには解らないだろうけれど。

ギャフン。
楽曲のテーマを決めるとき「いつ(When)どこで(Where)誰が(Who)なぜ(Why)その歌を作ったのか」を決める「4W(よんダブリュー)」を心がけると曲全体の空気感がハッキリしてきて良い。

上の「真赤」の例だと「夏、下北沢でバンドマンが女の子との関係が上手くいかなくて歌った曲」だって言えるわね。

よ~し、僕もだらしない恋愛を歌うバンドマンになるぞ~!

せいぜい頑張るニャン。

私は新年度の心躍るうきうき感を歌ってみたいわ。
そうね、テーマは「春、あたらしい学校で女子高生が新生活が楽しみで歌った曲」で!

お、いい感じニャンな~! 俄然聴いてみたくなったニャン。

(僕たちのバンド、僕がボーカルなのに……?)
キーアイテムを見つけよう。

さっき「キーアイテム」って言ってたけど、いまいちしっくりこないなあ。
こっちも具体的に説明してくれよ!

うん。じゃあ2017年最大のヒット曲、米津玄師×Daoko「打上花火」を例に「キーアイテム」から歌詞世界を分析してみよう。

歌詞はこちらから読んでほしいニャン。
キーアイテムはしばしば「曲名」になったり、楽曲全体で歌われていたりするニャン。

つーことはこの曲のキーアイテムは「花火?」

ご明答! 曲を作る時はこういった「キーアイテム」を決めてから作り始めると歌詞の世界がどんどん拡がって、奥行きのある楽曲になるニャン。

どうやって、そのアイテムから世界を拡げればいいの?

そのアイテムから思いつく言葉を連想ゲームみたいに繋げてみるといいニャンね。その時に使えるのが「マインドマップ」ニャン。
ためしに「打上花火」のマインドマップを作ってみたニャン(クリックで拡大)。

こんな風に「キーアイテム」となる言葉を真ん中に書いて、そこから樹形図のように繋げて拡げていくと言いたい言葉が芋づる式に出てくる気がしニャいか?

するニャン! これなら僕でもできそうニャン!
マインドマップで連想ゲームをしてみよう!

私の曲だったらキーアイテムは「桜」ね。
ためしにマインドマップを描いてみたわ。(クリックで拡大)

はじめてにしては上出来だニャン!

おお、もうこのマインドマップを見ただけでいきものがかりとかケツメイシとか福山雅治とか森山直太朗とか嵐とか思い出しちゃうね。

季節から連想されてしまうような名曲こそ、しっかりとキーアイテムを大切にしている印象ニャン。

わーい! 名曲の予感……!

じゃあ、次回は早速オリジナル曲のサビを作ってみよう!

お、やっと僕が御茶ノ水で19万で買ってきたリッケン620(シックスツーオー)ギターの出番だね!? やったぜ。

ベンジーに憧れているの? ラットひとつを商売道具にしているの?

次回!「恋するサビのつくり方。ハナウタ作曲大作戦!」!デュエルスタンバイ!

ギター要らんやん。
- 曲を作る前に、楽曲全体に通用する「テーマ」を決めるといい。
- テーマを考えるとき「4W=いつ(When)どこで(Where)誰が(Who)なぜ(Why)その歌を作ったのか」を想像してみよう。
- 歌詞に登場させるキーアイテムを決めて、そこからマインドマップを描いてみよう!
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