スペインが産んだ人気インディー・ポップ・レーベル「Elefant Records(エレファント・レコーズ)」をご存知だろうか。
スペインの音楽といえばラテン系の情熱的なものを想像するかもしれない。しかし、この「Elefant Records」はフレンチポップのような、可愛らしい女性ボーカルにポップなバンドがついたものが多く所属している。
公式YouTubeチャンネルでの紹介は「An indie pop record label to make you dance, dream, feel, love, laugh, and cry(あなたを踊らせ、夢を見させ、感じさせ、愛させ、笑わせ、そして泣かせるインディー・ポップ・レーベル)」。おしゃれでしょう?
そんな、かわいくておしゃれでカッコいい、インディー・ポップを聴いてみよう。
The Primitives
Clash – The Primitives
The Primitives(プリミティブズ)はイギリス出身のインディー・ポップバンドだ。上の曲は一番のヒット曲「Clash(クラッシュ)」。力強いドラムや歪んだギターからはWeezerのようなパワーポップの影響を感じる。そこに乗るボーカルトレーシーの歌声もキュートだ。
The Yearning
When I Lost You – The Yearning
続いて紹介するのはイギリスの2人組デュオ、The Yearning(ヤーニング)。この曲「When I Lost You」は先程とは打って変わって50sオールディーズの香りがするスローなバラードだ。日本では「レトロポップ」なるジャンルで紹介されるようだ。なんだそれ。
ハープやストリングス、フルートの入ったアレンジは優雅で耽美だ。
そしてボーカルのマディーが可愛い。
Papa Topo
Oso Panda – Papa Topo
とにかくパンダを殺す。
そんなバンド、Papa Topo(パパ・トポ)。スペインのバンドだ。
アメリカで不条理グロアニメ「ハッピーツリーフレンズ」(検索はおすすめしない)がウケるように、これも欧米人の感覚では面白いのだろうか。我々日本人には理解しがたい。
ボーカルは男女混合になっている。
Enero – Papa Topo
このチープなMVがたまらない。とくにサビの、メンバーが全身タイツ姿で淡々と踊るところなんてとてもシュール。しかしサウンドはなんとも良い。クリーンなギターによる軽やかなカッティングとシンセサイザー、硬質なベース浮遊感のあるコードワーク。
そして最後になぜかこの曲「Enero」の日本語直訳バージョンが流れる。
「いちが~つ~に~」と、どう考えても制作側に日本語が分かる人がいなかったんだろうなという感じになっていて、よくわからない。
……なんなんだよ。
Alpaca Sports
Just for fun – Alpaca Sports
北欧スウェーデン出身、2人組インディー・ポップバンドAlpaca Sports(アルパカ・スポーツ)。なんともいい加減なバンド名である。アルパカの登場するMVはなんとも和やか。
軽やかなビートにクリーンギター、男女ツインボーカルによるポップな曲は日本人にも心地よいだろう。
Just Like This – Alpaca Sports
アルパカじゃなくてサルのきぐるみが登場する。パパ・トポといいきぐるみ好きだな。しかも最後には頭を取る。
肝心の曲はこれまたクリーンなギターサウンドに軽快なビートで、ドライブで聴くのにちょうどいいのではないだろうか。
Stereo Total
Stereo Total(ステレオ・トータル)は、ドイツはベルリン出身のデュオ。フランソワーズ・カクチュース(Françoise Cactus)はフランス出身、ブレンツェ・ゲーリング(Brezel Göring)はドイツ出身で、多国籍バンドとなっている。ふたりとも歌って演奏をするらしいが、メインボーカルはフランソワーズのようだ。
Relax Baby Be Cool – Stereo Total
ステレオ・トータルの音楽はシンセサイザーやリズムマシンを用いた電子音楽である。ジャンルはシンセ・ポップやニュー・ウェイヴ、エレクトロニカなど。歌詞も英語、ドイツ語、フランス語と様々である。
I Love You Ono – Stereo Total
この曲は日本のテクノポップバンド、プラスチックス(Plastics)の「I Love You Oh No」のカヴァーである。どうやらヨーロッパでソニーのCMソングにも使われたようだ。
I Love You Oh No – プラスチックス
プラスチックスといえば四人囃子にも所属した音楽プロデューサー佐久間正英が所属していたことで知られる伝説的バンドである。「Oh No」の部分がカヴァーでは「Ono」になっているのはプラスチック・オノ・バンドと掛けたのであろうか。
他にもステレオ・トータルはピチカート・ファイヴの楽曲もカヴァーしている。
Tokyo Mon Amour – Stereo Total
先程の「I Love You Ono」ではテクノポップをバンド風にリアレンジしていたのに対し、こちらはバンド曲をテクノポップ(ハウス)調にリアレンジしている。
原曲はもちろんピチカート・ファイヴの「モナムール東京」である。歌詞もフランス語になっている。
Pizzicato Five – モナムール東京
ステレオ・トータルはなにかと日本とも関連が深いバンドなのである。
Band à Part
最後に紹介するのは筆者イチ推しのスペイン発男女インディー・ポップデュオ、Band à Part(バンド・ア・パート)である。the band apartではない。
バンド名はフランス映画の巨匠、ゴダールの『はなればなれに(Band à Part)』から。
No Sé Por Qué – Band à Part
渋谷系ネオアコを彷彿とさせる軽快でかわいらしいサウンド、歌唱である。
なんと彼らは2015年、渋谷系の継承者カジヒデキと共演していたようだ。

いいなぁ、観に行ってみたかった。
Verano Azul, Invierno Nuclear – Band à Part
この曲も可愛い。曲名は「青い夏、核の冬」と皮肉めいていて物騒だが……。
クリーンなギターに軽いビート、ビブラフォンの音は完全にネオアコ、ギターポップという感じのサウンドだが、そこにオクターブベースやシンセサイザーが入ることでそれらとはまた違う、新しいサウンドとなっていて面白い。
Sputnik, Mi Amor – Band à Part
日本のサブカル文化を感じさせるMV。ボーカルのコラール・ロドリゲス(Coral Rodriguez)の歌声が可愛い。
ぜひ聴いてみてください。
いかがだっただろうか
東京は雪もまだ道端に残っていて寒い日々が続きますが、これから来るであろう春に思いを馳せながら軽やかなインディー・ポップを聴いてみるのも良いのではないだろうか。
きっと冷え切ったあなたの心をふんわりと暖かくしてくれるだろう。
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