Cymbals、知ってますか? シンバルズ。
怒涛の展開を繰り広げるコード進行に、沖井礼二のうねるようなベースと土岐麻子ののびやかな歌がマッチして、もう最高なんです。
Cymbalsは今から20年前、1997年に結成されたバンド(僕と同い年)。渋谷系のブームが80s後半から90s前半なので、ポスト渋谷系と呼ばれています。この1997年というのはあのスーパーカー、くるり、ナンバーガール、中村一義といったそうそうたるメンツ(‘97の世代)が活動し始めた年です。いい時代だなあ……。
代表曲はなんといってもコレ。
Cymbals – Highway Star, Speed Star
タイトルはDeep PurpleのHighway Starから取られています。
いい曲ですよね? そう、最高なんです。
怒涛の転調と、歌うベース・ライン。
Cymbals – Rally
Cymbalsの楽曲の特徴はなんといっても浮遊感あるコード進行。彼らの楽曲は転調がとにかく多い。転調できるところ全てでことごとく転調する。もはや転調のプロフェッショナル。
それもそのはず、メンバーの音楽的ルーツがジャズ。ジャズはもともと転調が多いジャンルなので、ジャズをルーツとする作曲家は転調が上手なんです。アニソン作曲家の田代智一もジャズ畑出身で転調に長けています。転調って、イイでしょ?
とくに注目すべきは沖井さんのベースライン。一時的な転調の嵐を縦横無尽に駆け巡りつつもしっかりと楽曲として成立させているのです。ポール・マッカートニーを彷彿させるメロディアスなベースラインは聴く者の心を掴んで離さない。
可愛くて、ちょっといじわるな歌詞。
My Brave Face – Cymbals
曲名はポール・マッカートニーの同名曲が由来であろう。シングルのジャケットはキンクスの“Face To Face”のパロディである。
冒頭の歌詞を少し引用させて頂こう。
駆けつけた一時間遅れ 砕け散る目覚まし
天気予報はいつも嘘つき 晴れてた筈の街路樹
こんな時は世界の終わりでも祈る
お次は君の番 さぁ今すぐMy Brave Face – Cymbals
まるで漫画のようなポップなストーリーと終末感のある少しダークな発想は、後の同じく渋谷系バンド、相対性理論の『シフォン主義』などとも類似する。
そう、ただ底抜けに明るくするのではなく、そこにひとつまみの悪意を入れることで、より親近感を持てるキャッチーさが生まれるのです。
Cymbals – 午前8時の脱走計画 This is what you want,but this is what you get
上はCymbalsのデビュー曲。こちらの歌詞も最高にキュートですよね。ちなみに作詞はVocalの土岐麻子。彼女は現在ソロでも活躍している。
土岐麻子のかわいい歌声。
中塚武 feat. 土岐麻子 – Your Voice
Cymbalsは2003年に解散したが、それぞれのメンバーは現在も活動しているのです。
上に挙げたこの曲「Your Voice」はアニメ『きんいろモザイク』のEDテーマとしてカバーが使用されたことで話題にもなりました。ジャズ作曲家中塚武の楽曲にフューチャリングとして参加したものです(中塚武の作品ではさだまさしの北の国からのRemixが有名で、聞き覚えのある方も多いことだろう。ディズニーのRemixアルバムもとても良いです)。

土岐麻子は他にもポストロックバンドtoeに参加したり、ソロで活動したりしています。アルバム『Bittersweet』は良曲揃い。
TWEEDEESもオススメです。
TWEEDEES – KLING! KLANG!!
対して、沖井礼二が2015年、シンガーソングライターの清浦夏実と結成したのがTWEEDEES(トゥウィーディーズ)だ。上の曲「KLING! KLANG!!」の元ネタはドイツの電子音楽グループ「クラフトワーク」のスタジオ「KLING KLANG」からでしょう。
Cymbalsの尖った感じは抑えられ、オシャレポップに聴きやすく纏められていて、これはこれでGood。
TWEEDEES – a la mode
こちらの曲はロック然としている。格好良くないですか?
残念ながらCymbalsは解散してしまっているが、TWEEDEESはバリバリ現役活動中だ。TWEEDEESの今後に目が離せない。
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