作曲と編曲の違い~蔦谷好位置に考える「古い著作権法」

作曲と編曲のちがい
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蔦谷好位置さんのこんなツイートが話題になっています。

今回はこのツイートの背景にある現行著作権法の違和感について解説します。

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そもそも蔦谷好位置って誰!?

蔦谷好位置さんといえば超やり手な音楽プロデューサー。

関わってきたアーティストはYUKI、Superfly、ゆず、エレファントカシマシ、木村カエラ、CHARA、高橋瞳、伊藤由奈、KAT-TUN、関ジャニ∞、JUJU、絢香、back number、米津玄師など(Wikipediaより)。

関ジャムを観ている方はおわかりのようにとにかく音楽に精通していて、世界中のさまざまな音楽を聴きながら自己の作品に落とし込めていて、ステキ。

僕も一度彼をJ-WAVEかなにかのイベントで司会をされていて見たことがありますが、人柄もたいへん良い方でした。

ではなぜ彼がこんな難癖のようなツイートをしたのでしょうか。

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編曲と作曲の違い

作曲と編曲は似ているようで全然別の作業を指します(もちろん、場合によって差はあります)。

簡単に説明すると以下のようになります。

  • 作曲……おもに「メロディ」を作る
  • 編曲……メロディ以外の音を全て作る

音楽は非常にさまざまな人々が関わって作られるものです。

特に蔦谷好位置さんが作るようなJ-POPのようなジャンルならなおさら。

そのなかで、編曲が占める範囲はかなり広いものです。

実際にJ-POPの制作工程のなかで見てみましょう。

(例)J-POP楽曲の制作工程

もちろん下記は一例であり、この例に沿わないケースも多々ありますが(プロデューサーが編曲や作詞を兼ねていることも)多くはこのような流れになっているハズです。

  1. 作曲家がメロディを作る
  2. 作詞家がメロディに合わせて歌詞をのせる(アーティストや音楽プロデューサーなどと打ち合わせをした上で、アーティストに合った歌詞をつくります)
  3. 編曲家がメロディに沿ったコード進行・リズム・ベースライン・その他楽器(ギターやピアノ、金管楽器、弦楽器など)を決め、楽譜に起こす
  4. ミュージシャンが編曲家の指示通りに演奏・録音する
  5. 歌手が実際に歌う

たとえば、楽曲の冒頭部分であるイントロや間奏、アウトロなどメロディが無い部分は多くの場合編曲家がメロディ含めて制作しています。

こう考えると、編曲は楽曲のかなり重要な部分を占める役割なのです。

もちろん、楽曲の顔になるのはメロディですから作曲は楽で誰にでも出来るというわけでは決してありません
魅力的なメロディを作るためには多くの知識とテクニックを要します。
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現状、編曲家に対する待遇が良くない。

ご覧のように、編曲という作業は作曲や作詞などとも劣らない大切な役割を務めています。

しかし、ツイートにもある通りたいていは「歌手」「作詞」「作曲」が表に出、編曲者の名前を目にするのはせいぜいCDの歌詞カードの最後の方くらい。

もちろんカラオケでも画面に編曲者の名前が表示されることはありません。

印税の配分も多くの場合ありません(買い切りだったり、サウンドプロデュースとして1%程度配分されるようです)。

曲の印税って作曲と作詞・実際に歌うボーカルだと何対何の割合ぐらいで印税がもらえますか?
曲の印税って作曲と作詞・実際に歌うボーカルだと何対何の割合ぐらいで印税がもらえますか?むかし聞いたのはボーカルは1%程度と聞きました。

例えばその楽曲が大ヒットして、映画やドラマ・CMなどで使われるようになっても作曲家や作詞家には配当がありますが編曲者には多くの場合ありません。

これらは「著作権法」によって規定されているもの。

また、編曲された楽曲(二次的著作物)の編曲に関しては、編曲家にも著作権が認められるが、楽曲の著作者である作詞家・作曲家にも当該編曲に関する著作権が発生する(著作権法28条)。そのため、編曲された楽曲を営利目的で利用する際には、原曲の著作者との間に許諾、契約が必要であり、無断で楽曲を利用した場合には著作権侵害となる。

つまり編曲家の権利は作詞家・作曲家の権利より劣るもの。

蔦谷好位置さんが嘆くのもうなずけます。

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どうしてこうなった? 作曲と編曲の関係の変遷

こういった経緯は歴史的背景を紐解くとわかりやすいものです。

この著作権法が施行されたのは昭和45年(1970年)。

つまり著作権法は日本の60年代以前の音楽業界を踏まえて作られたものだといえます。

60年代といえばビートルズに影響を受けたGS(グループサウンズ)の全盛期。

アメリカやイギリスといった海外のミュージシャンのカバーなどが多かったころです。

日本の音楽といえば坂本九の「上を向いて歩こう」や加山雄三の「君といつまでも」といった歌謡曲が主流でした。

もちろんこの頃はDTM(コンピューターで楽曲制作をすること)機材などなく、マルチトラックレコーダー(MTR)やテープでのダブリング(重ね録り)によって制作されていました。

トラック数の制約から凝ったアレンジなどもしづらく(クイーンなど、この頃から頑張っていたアーティストもいます)、アレンジや音数は最小限でした。

そういった背景から、編曲家が占めていたウエイトも当然小さく、逆に作詞作曲を専門とする人は多かったのです(中村八大や永六輔、いずみたく、阿久悠などが有名ですね)。

しかし時代は変わり、楽曲制作の規模や行程、ウエイトも大きく変化しています。

しかし、法律は60年代に作られたものが未だ現役として使われています。

蔦谷好位置さんはこういった法の時代遅れを嘆いているわけです。

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著作権法はこれからどうなる?

バンドやシンガーソングライター、歌手など、さまざまな楽曲制作スタイルがある現在。

編曲家にも同等の権利を認めていくと、それはそれでまた複雑な仕組みになってしまいます(楽曲に対する貢献度が測りづらいため)。

しかし、現在の著作権法が時代にあわず古臭いのも真実。

原盤権などの権利はプレスを前提とした権利なので、今後主流になっていくストリーミング配信への対応もできません。

多様化している制作スタイルに対応できる著作権法に徐々に変化していくべきなのかもしれませんね。

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